誰かを愛しいと思ったのなんか、生まれて初めてだったんだ。
『息継ぎが上手にできるようになるまで』
芭唐は、無言で天国に、キスをした。
「……んっ、…なにす……んっ!」
天国が小さくいやいやをするように、かぶりを振るが、抱きしめる力を強め、角度を変え、何度もキスを落とすと、次第に抵抗は収まった。
代わりに密着した下半身から、服の上から分かるほどの熱が伝わってくる。
どうやらキスだけで、勃ってしまったらしい。
軽く膝で刺激を与えてやると、
「やめ……、芭唐…っ」
潤んだ瞳と声が返ってきた。
「誘ってんの?」
「ちが……っ、バカっ…!」
「バカじゃなくて、芭唐。
こないだ教えてやったしょ?」
――ちゃんと呼んでみ?
耳元で芭唐に甘く囁かれ、天国はビクっと体を竦めた。
その感度のよさに、芭唐は小さく笑い、そっと手を、天国のボタンに掛けた。
「やめ……、やだっ……やめろってば…」
「ヤだったら、本気で抵抗してみろよ?」
乳首を右手の爪で弾きながら、天国を挑発するように、訊く。
「でも、天国。
俺なら本気でお前を、気持ちよくさせてやれるぜ?」
空いている左の胸の飾りを、口に含んで、更に挑発。
だが、挑発している芭唐自身、実はかなり余裕がない。
ずっと、好きだったのだ。
恋焦がれていた。
その、意志の強そうな瞳に。
年に不相応な、無邪気さに。
そして、ふと見せる、影のある笑顔に。
それが、今、手の届く位置にいる。
そのことが、芭唐から、理性を失わせた。
「あっ…ふ……んッ」
胸の突起に舌を転がすと天国は身を捩って善がった。
天国の鼓動が早くなっているのが、柔肌の1枚むこうから、ダイレクトに聞こえてくる。
声を聞きたくて、わざと強く胸を抓ると。
「……あぁ…っ」
甲高い、甘い声が聞こえてきた。
「いい声で啼くじゃん
結構お前、声高いのな。
いつも、そんな風に気持ちよさそうに鳴くん?」
意地悪半分、半ば本気で天国にからかいながら問いかけると。
「や…そん……な、は…じめて…だから、知らな……ッ」
期待通りの言葉が返ってきた。
十二支の奴等をみると、誰に抱かれても不思議じゃない。
それなのに、まだ、シたことがない、とは。
「お前、案外貞操堅い?」
自分でも分かる、声が跳ねてる。
正直、かなり、嬉しい。
顔を赤くして、返事をしない天国。
ちょっとオイオイ、かわいすぎるっしょ。
芭唐は天国を横抱きに抱え、そのままベッドの中央へを押し倒し。
「ん……っ」
甘い声が漏れらす唇を、舌を、わざと音を立てて吸い上げた。
「ふぁっ……!!!」
息継ぎが苦しくなったのか、天国が頭をふってキスから逃げる。
「もしかして、キスも、初めて…じゃない、よな?」
問いかけると、天国は真っ赤になって俯いた。
(ちょ、これは、ヘタな女よかよっぽど純情ちゃん?)
心の中で突っ込みを入れるが、同時にとても喜んでいる自分がいる。
処女は面倒だから、抱かない主義だったのに。
でも、そんな自分の変化が、決して嫌ではない自分に、芭唐は満足していた。
「なぁ天国。
息継ぎは鼻でしなさいネ?」
からかい半分でいうと、
天国は潤んだ瞳で、バカにするな、と突っぱねた。
横を向いてしまった天国の耳に、芭唐は緩く息を吹きかけ、耳の穴の周りを撫でるように、舌先でそっと愛撫した。
「……ふっ……ん…」
再び甘い声が洩れてきたところで、芭唐は、右手で天国の股間をそっと触れてみた。
芭唐は天国の、すっかり形を変えたモノを確認すると、二ッと嗤って、ボタンをはずし、チャックを下ろし、直に触れた。
「ちょっ…ばか……ら、やめ……!!」
「なんで?」
「や、だってそんな……汚い……っ!」
「そんなことないっしょ。」
やめろ、と口では言うくせに、
腰を小さく揺らしている天国が可愛くて。
芭唐は、体をずらし
天国のズボンを下ろして
中心で存在を主張しているモノを口内に含んだ。
「ああっ…あッ、あ…ッあッ」
強すぎる刺激に、抵抗することすら忘れたように身悶える天国。
自分の行動で感じてくれているのが嬉しくて、
芭唐はより大胆に、天国のモノに舌を這わせた。
吸って
舐めて
先端を軽く歯で苛めると、
「……はっ…、ああ…っ」
一層激しく頭を振って、身をよじらせる天国。
同時に口の中のモノは、大きく膨らんで、限界を訴えていた。
「……そろそろ、か?」
芭唐は口を離し、独り呟くと、ベットサイドからジェル付きのコンドームを取り出し、指に嵌めた。
「…え、……芭……唐……?」
せっかく上り詰めそうだったのに、急に愛撫をやめられたことに疑問を持ったのだろう。
天国は不満気に声を上げるが。
続く芭唐の台詞に、一気に身体を強張らせた。
「大丈夫、優しくすっから。な?」
安心させるように、天国の頭を撫でて。
前に刺激を与えながら、芭唐は、天国の秘部に中指を差し入れた。
「ひゃっ……なにすッ…!!」
天国は未知の刺激に怯えるも、前の刺激が強すぎて、体は天国の不安とは裏腹に、徐々に拓いていく。
中指すっかり入ってしまうと、芭唐はゆっくりと出し入れを始めた。
始めこそ嫌がっていたものの、次第に上気した表情をした天国は、熱に浮かされたように、ゆるく頭を振って喘ぎ声を洩らした。
「なに、気持ちいぃの?」
芭唐はふざけるように、そんな天国の痴態を笑い、コンドームの中の指の本数を2本に増やした。
「……んッ…ん……」
天国は辛そうに声を上げ、唇と瞳を堅く閉じて、その責めに必死で耐えている。
あまりにその表情がいじらしくて、芭唐はらしくないほど優しいキスを、一つ落とす。
途端に、緩む天国の身体。
その隙を逃さず、芭唐は孔から指を抜き。
代わりに、ゆっくりと自身を埋めていった。
「ああッ……や……芭…唐………!!」
「痛かったら、背中、引っ掻いても、いいから」
ゆっくりと、あやすように腰を揺らす。
「あ……。はっ…んん…っ」
予想以上にキツい。
女とは違う、肉に肉がめり込んでいく、感覚。
男を抱いていると、意識せざるを得ないほどの、快楽。
こんなにも、苦しく。
こんなにも、気持ち善い。
やがて芭唐の全てを天国に挿入れた時。
天国の瞳から、涙がぽろり溢れだした。
「天国、痛い……か?」
「ち、ちがッ……!」
涙をいっぱいに湛えた瞳で、天国は芭唐を見上て、云う。
<
「芭唐を……すごく、すごく……好きだ……と、想った……から」
あまりに健気な天国の言葉に、
芭唐は残っていた理性を全て取り払われた。
何も考えられなくなって、芭唐は一気に、天国の最奥を貫く。
「……あああッ」
予想外であろう、激しい芭唐の突き上げに、天国の濡れた瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
「アッアッ…アッ…んッ…ああ…んッ」
何度も突き上げると、天国の声に、艶が混じる。
「ココ、すげー。突くたびに、お前ん中キュって締まる
そんなにいーの?」
「そんっ……コト……わかんなっ、あッ、芭…唐……オレ…もっ…あーーーッ」
天国は、身体を弓なりにして叫ぶと、
自身の熱を一気に開放した。
「ちょッ、締め付けすッぎ……っしょ……!!」
途端、喰い付くかのように締まった天国のナカで、
芭唐は、耐え切れず熱を解放した。
「この、性悪、猫……がッ…!!」
2.3度、更に、天国に腰を打ちつけ、芭唐は自身の精にまみれたモノを取り出し、天国を強く抱きしめた。
「なぁ、天国。機嫌直せって。」
「無理矢理人のこと抱いといて『機嫌直せ』じゃねーだろ!」
「でもよ、約束は守ったじゃん?」
「約束……?」
「言ったっしょ?
俺ならお前を、気持ちよくさせてやれる、って」
悪びれず、八重歯を見せて得意げに笑う芭唐。
誰も頼んじゃいねーよ!!と、顔を真っ赤にして怒鳴る天国。
本当は、中出し、なんかしたのは初めてで。
理性吹っ飛ぶくらい、気持ちよかったのは、芭唐の方で。
(でも、それは教えてやんねぇ)
(どーやら、狂っちまってるのは、こっちみてぇ?)
まぁ、それはそれでいいや、と。
芭唐は暴れる天国を抱きしめ。
もう一度、深くキスをした。
息継ぎが、上手にできるようになるまで。
end