透明な雪。




 



 突き放そう、と思った。

 オレの隣で、辛そうに幸福を探す白雪さんを見ているのに、耐えられなかった。

 少しだけキツく、自嘲を込めて、言葉を吐いた。



 「あんた、オレに大神さんて人、みてるんでしょう。

  辞めた方がイイっすよ。

  オレなんてただのガキで、バカで、嘘つきだ。」





 (動揺、するかな)



  オレのちいさな期待を、白雪さんはいつもの笑顔で、裏切る。



 「ガキで、バカなのは、大神も同じだよ。」



 透明な瞳が、オレの向こう側を見ながら、笑う。



    「じゃあ、おれはただの嘘つきでいい。   だから、もうオレに、構わないでください。」



 オレの必死の言葉にすら、白雪さんは、少しだけ、笑うだけだった。

 そして、笑みを作った顔のままで。

 白雪さんは、オレの顎に手を添え、オレの顔を間近で見つめた。



 (―キスされる)



 咄嗟に身構えたオレに、白雪さんの眉が、ちょっと下がった。

 唇が触れ合う程の距離で、だけれどまだ遠すぎる空間を残し、白雪さんの唇が、そっと動く。



 「嘘、つかなくてもいいよ   君は、綺麗だ。」



  ふわり、困ったような顔で笑ったあと。



     白雪さんの右腕が、オレの背中を引き寄せ、抱きしめた。




    「ごめんね」



 心臓の向こうから、声がオレを突き刺した。


 白雪さんの言葉を図りかねて、

 狡いとも、卑怯だとも責める権利を持たないオレは

 ただ黙って俯くことしかできなかった。



 右手で白雪さんの着物を握り、

 心は白雪さんの名前だけを繰り返して

 次第に恋に潰れていくオレを、

 白雪さんもただ

 ただただ一途に、透明な瞳へ映していた。  











 さららたんの絵に「ヒャッホウ!」となって衝動書きした雪猿でした。
 「嘘、つかなくていい」は、大神さんに近づいてほしいのと、猿野さんを傷つけたくないからと。
 白雪さん複雑どすな



end






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